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脳神経内科

 診療の特色

1)対象疾患

 脳神経内科の対象疾患は、脳、脊髄、末梢神経さらに筋肉の異常に関わるものです。非常に多岐にわたりますが、代表的な例は次のようなものです。

 

脳血管障害 脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作
神経変性疾患 パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症
脱髄疾患 多発性硬化症
末梢神経疾患 ギラン・バレー症候群、顔面神経麻痺
神経・筋疾患 ミオパチー、重症筋無力症、周期性四肢麻痺
機能性疾患 てんかん、片頭痛、三叉神経痛
神経系感染症 脳炎、髄膜炎

  など


  また次のような神経系の症状の診断にも関与します。原因は神経系以外の疾患の場合も少なくありませんので、診断結果に応じて、専門の科へ診療を依頼します。


 意識障害、記憶障害、頭痛、めまい、痙攣、運動麻痺、不随意運動、感覚障害、言語障害、歩行障害    など


 

2)診療体制
(1)担当医師

 現在、常勤医師は3名で、全員が日本神経学会認定の専門医です。日本神経学会会員のレジデント2名も診療にあたっています。外来診療の一部は、非常勤医師が担当しています。さらに2〜4名の初期研修医がローテートして臨床研修を行っています。

(2)入院診療

 入院の定床は20床ですが、入院患者数はかなり変動します。2018年度は一日平均23.0人でした。

(3)外来診療

 外来では、通院が可能な患者さんの診断・治療、経過観察を行います。 一般診察は月〜金の毎日行っています。この他に特別外来として、パーキンソン外来(月曜日午後)、ボトックス外来(水曜日午前)を設けています。

 再診は予約制をとっています。予約時間は極力守るよう努めていますが、受診患者さんの容態などにより遅れが生じる場合が多々あり、ご理解をお願いしております。症状に変化があった場合には予約外でも対応します。

 初診は原則として紹介状のある場合もしくは他科の医師からの診療依頼の場合に限っています。初診の予約は、紹介医が地域医療連携室を介して行うことができます。紹介状を持参された方は予約がなくても診療いたしますが、緊急でない場合には診察が遅くなることもあります。受付後におおよその診察予定時間をお伝えします。当日は初診手続きを行い、後日の予約を入れていただく方法もあります。

 初・再診とも、予約がない場合の受付時間は8:30~11:00amです。予約患者さんを優先としますので、その日の状況によって待ち時間はかなり異なります。救急の場合は別に対応します。

  CT、MRI、脳波、筋電図、脳血流シンチ、などの検査は、外来受診時に予約をとります。多くの場合外来受診と別の日になります。

(4)他科からの診療以来

 救急患者や他科からの診療依頼に対しては緊急度に応じて適切な対応がとれるよう、専門医が協力してあたっています。総合病院で規模も大きいため、コンサルテイションの数が多いのも特徴です

3)脳卒中診療 

 対象疾患の中で最も例数の多いのは脳梗塞や脳出血といった脳卒中です。当院では病態に応じて脳神経内科、脳神経外科、総合診療科、が担当し、重症の初期治療は救命救急センターが担当します。またリハビリテーション科が早期からリハビリを担当します。さらに脳卒中診療においてば発症の危険因子(高血圧、糖尿病、心疾患など)に関しての精査と治療方針の決定が重要で、循環器科、内分泌代謝科など関連の深い科が連携して診療にあたります。

 当院は東京都の脳卒中急性期医療機関に指定され、発症4.5時間以内の超急性期脳梗塞患者に対するtPA静注療法を行っており、さらに必要に応じ脳神経外科が脳血管血栓回収術を施行しています。救急は24時間対応し、頭部CT検査等の緊急検査、必要により脳MRI検査を施行します。平日の日中の救急車は二次救急当番医がまず対応し、休日と平日17:15〜翌日8:30までは当直医が対応しますが、必要により脳神経系専門医がオンコールで担当します。

 当院の入院治療では急性期治療、早期のリハビリテーションを行います。引き続き積極的なリハビリテーションが必要な場合は、回復期リハビリテーション専門病院への転院を勧めています。一方、合併症や高齢のため回復期リハビリテーションの適応がなかった場合には、療養や介護の問題などにつきメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)を交えて相談を受け、在宅介護支援あるいは療養型病院や介護施設への転院の援助を行います。従って当院では急性期以降のリハビリや療養目的の入院は受けていません。

 通院可能となれば再発予防のための治療を外来で行います。容態が安定したら、家庭医に情報提供し日常診療を依頼します。その場合でも何か変化があった場合には、救急も含め当院で対応します。家庭医をお持ちでない方には、院内の地域医療連携室でお住まいの近くの内科医院について情報を提供いたします。

4)神経難病・その他の神経疾患の診療

 現時点で承認されている最新の検査・治療を行っています。研究段階等の特殊検査・治療については状況により導入しています。必要により検査入院をしていただき、診断と治療方針の決定を行います。

 完治困難な患者さんに対しては、療養上のアドバイスをするとともに、合併症に対応します。緩徐進行性の疾患も多いため、患者さんやそのご家族が疾患について十分理解できるよう説明すると同時に、受容ができるよう精神的なバックアップを行うことを重視しています。通院が可能な間は外来で投薬、経過観察を行います。状況により入院の上、気管切開、人工呼吸器の導入、胃瘻造設などを行います。在宅介護をされる場合には往診医と連携して支援を行います。当院では病院機能上、長期療養は受け入れ困難です。施設介護を希望される場合には、MSWを介して該当する病院または施設に関する情報提供と入所の手助けを行います。

 昨今、物忘れ・認知症が増えています。脳神経内科でも認知症の診断や内服薬治療を行いますが、不穏や精神症状が問題になる場合には精神科に依頼します。

現在(近い将来)目指していること

1)コミュニケーションの充実

 近年、情報交換の手段は格段に進歩していますが、逆に身近な者同士の人間的なつながりの低下が指摘されています。医療は現場の人間関係の上に成り立つものです。私たちは、医療関係者と患者さんの間、また医療関係者の間の円滑なコミュニケーションが病気という問題解決のために非常に重要と考えています。

 患者さんとの間では次のようなことを心掛けています。

 

  1. 十分な説明を行い、診療の方針については患者さんやご家族と相談し、その希望を第一に考える。決めかねている場合には一緒に考え、適切なアドバイスに心がける。
  2. 特に慢性疾患では、本音の言える関係づくりに心掛ける。プライバシーに対しては十分に配慮する。
  3. 脳神経内科に対する問題点の指摘や要望を把握する努力をする。

 

 医療関係者同士では、次のようなことを心掛けています

 

  1. 脳神経内科への診療依頼はいつでも連絡可で、緊急性に応じて対応、ちょっとした相談はPHSで対応、休日・夜間は交代でon call
  2. 関連各科の医師、コメディカルを交えた合同カンファレンスの充実
  3. 院内他部門との意見交換
  4. 病診連携の促進
  5. 地域の医療施設や福祉行政関係者との情報交換
  6. 特殊検査等については、国内の専門家へコンサルテイション

 

2)診療の連携
脳卒中診療の連携

脳卒中は急に発症するのが特徴で、少しでも早く治療を開始することが重要です。一方、急性期を脱しても後遺症が残りリハビリテーションや介護が必要となることも多く、また再発予防のための慢性期治療も重要です。これに対してわが国の医療政策においては、各医療機関の機能分化とその間の連携による医療の効率的な提供、という方針が打ち出されています。近年東京都では、救急病院が協力し合うことにより、脳卒中が疑われる患者さんの救急搬送態勢が強化されました。また都西南部の病院が急性期・回復期(リハビリテーション病院)・維持期(療養型病院、地域診療所)の役割分担を明確にし、共通の地域連携診療計画(いわゆるクリニカルパス)を作成して連携を強めています。当院でも急性期医療機関としてこれまでに培った実績を基に、連携の枠組みの中で地域の脳卒中医療に貢献することを目指しています。

 

神経難病診療の連携

神経難病は専門医でなければ正確な診断が困難な場合が多く、診断と治療方針決定のため神経内科医が果たす役割は大きいと言えます。緩徐進行性であるか再発寛解がある点で、上記脳卒中とは異なり、専門医の継続的なフォローアップが必要です。しかし根治的な治療法がない場合が殆どで、QOLの維持・向上が日常の主な目標となります。そのため一人の患者さんの診療に、行政担当者や在宅医療・介護に関わるスタッフなど、さまざまなサービスの提供者の連携が必要です。その中で当院に特に望まれているのは、疾患に関する情報提供と急な容態悪化時の受け入れであると考えられます。当科では、地域のニーズに答えるためのより良い方策を常に考えていきます。

 

3)研修医教育

 急速な高齢化とあいまって、神経内科疾患も明らかに増えています。今後医療水準を維持するためにはマンパワーを充実させる必要があり、そのためには医師の育成が極めて重要です。当科でも若手医師の教育に力を入れています。

初期研修

 当院の初期研修プログラムに則り、脳神経内科を通常4週間研修します。指導医とともに入院患者さんを受け持ち、医師としての基本的な考え方と技能の取得を目指します。その際、各人の将来の進路も考慮に入れた指導を心掛けています。

後期研修

 当院は教育病院として日本神経学会の認定を受けています。当院ホームページの採用情報内に後期研修プログラムを提示してあります。脳神経内科では日本神経学会教育プログラムに準拠し、日本神経学会認定専門医の資格取得をひとつの目標にしています。当院内で不十分な項目に関しては専門施設での研修を組み込み、幅広く研鑽が積めるよう配慮しています。

 また、平成30年度より、新専門医制度に基づく内科研修がスタートしました。現時点では、神経内科専門医を取得するためには、内科専門医であることが条件となります。当科の後記研修プログラムは、内科専門医取得に必要な条件も同時に満たすように構成されています。例えば、合計1年間の関連病院での研修も組み込まれています。

 一方、院内の他科の後期研修医のローテーションのためのコースもあります。逆に神経内科研修医も関連の深い他科のコースをローテーションします。その際には研修医自身の希望を重視して柔軟に対応できるようにしています。当院のプログラムはいずれも独立行政法人国立病院機構の後期臨床研修プログラムおよび臨床研修コースとして認定を受けています。

 当科の教育のスタンスとしては、専門医教育といっても、大学附属病院が研究業績を重視するのと異なり、疾患の知識を深める以上に、“疾患を持った患者さん”を中心に日々の診療を行っていく技能や考え方を身に付けることを目指します。さらに日本の医療システム全体をみる社会的な視点も促していきます。

クリニカルクラークシップ

 医学部の学生が一般病院で短期間の研修を行うシステムで、導入する大学も多いようです。当科でも依頼者と時期や研修内容などの条件が合えば受け入れています。2018年度は2名の学生がそれぞれ1か月ずつ研修を行いました。

 

診療実績

1)2018年度患者数
‘院:総数 368人 、1日平均入院患者数 23.0人、 平均在院日数 31.4日
【疾患別症例数】
 脳出血・くも膜下出血 60  脊髄炎 
 脳梗塞 126  脊髄梗塞 1
 TIA 13  脊椎疾患 4
  その他の脳血管疾患  4    
     ギラン・バレー/フィッシャー症候群
     CIDP
 アルツハイマー病・その他の認知症 5   その他のニューロパチー  5 
 パーキンソン病・その関連疾患 23    
 多系統萎縮症 4   重症筋無力症  2 
 脊髄小脳変性症 2   筋疾患
 運動ニューロン疾患  6    
     てんかん・痙攣・不随意運動 50
 多発性硬化症・NMO   9  意識消失・記憶消失
     頭痛・めまい 
 髄膜炎・脳炎・脳症  12    
     代謝性疾患・中毒   2 
 頭蓋内腫瘍・膿瘍 3    
 正常圧水頭症  その他
       

合計  368人 

外 来:  新規患者数 712人、  再来患者数 6868人
診療依頼対応: 他科からの正式な依頼票は年間数百件以上。その他にも適宜コンサルテイションに対応。

2)主な施設認定

  日本神経学会認定教育病院

  日本脳卒中学会認定教育病院

  東京都脳卒中急性期医療機関

 

疾患に関する情報提供(一般の方々へ)

(1)脳梗塞の超急性期治療

 脳動脈が血栓で閉塞し、その灌流域の脳組織が虚血・壊死に陥ることが脳梗塞の一般的な発症機序です。そこで、「血栓を溶かして血流を再開できないのか?」という質問をしばしば受けます。確かにこの血栓溶解療法は合理的な治療法ですが、脳の場合、すでに梗塞に陥った脳組織に血流が再開すると大出血をおこす危険が高く、組織の変化がまだ回復可能な状態に留まっている間に血栓溶解薬を投与する必要があります。

 現在、発症4.5時間以内の脳梗塞に対しては、遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン・アクチベータ(recombinant tissue plasminogen activator;rt-PA)の静脈内投与が行われます。ただし治療の有効性を確保し重篤な合併症を回避するため、かなりきびしい適応基準があります。そして専門医が患者さんの状態を適応基準に照らし合わせて十分検討した上で使用すべきか判断します。もちろん患者さんやご家族と話し合った上、同意をいただく必要があります。病気が発症してから薬が患者さんの体の中にはいるまでが4.5時間以内ですから、決断も時間との勝負になります。

 さらに、血栓が薬で溶けなかった場合、カテーテルを脳の血管まで挿入して取り除く、血栓回収術という方法も行われます。ただしこの治療は脳神経外科の対応が必要なため、できる施設が限られています。そこで東京都では、最初の救急病院でrt-PAの点滴を開始したあと、さらに血栓回収術が可能な病院へ救急搬送する体制ができています。

(2)顔面けいれんとボトックス治療

 瞼がピクピクする症状は病気でなくても起こることがあります。精神的なストレスが誘因になることが多く、たいてい知らないうちに治まります。しかし中には自然には治らず、目が閉じてしまうくらいに瞼が痙攣したり、口が曲がってしまうくらいに頬がひきつれたりすることがあります。これは、眼瞼けいれんあるいは顔面けいれんという病気です。原因としては、顔面神経が脳から出たところで、近傍の血管などで刺激されて起こることが知られていますが、むしろ原因が確認できないことの方が多いです。

 治療法の一つとしてボトックスという薬を目の周りや頬に皮下注射する方法があります。この薬はもともとボツリヌス菌の毒素から開発されたもので、顔面神経を麻痺させることでぴくつきをおさえる効果があります。効果は3~6か月で切れてきますが、時々注射することで維持していくことができます。

(3)痙縮とITB療法

 痙縮というのは四肢や体幹が異常につっぱってしまう症状で、脳や脊髄の病気でおこります。原因は脳卒中や外傷や神経難病などさまざまですが、そのままでは体が動かしづらいので、筋肉を弛緩させる働きをもつ薬を投与します。その一つがバクロフェンです。近年内服薬で効果が十分得られない場合、ポンプを体に埋め込んで、持続的にバクロフェンを脊髄の近くに注入する治療法が開発されました。当院では脳神経外科でそのための手術が可能です。この治療法の適応があるかは患者さんそれぞれで厳密に検討する必要がありますが、脳神経内科ではそのためのスクリーニングテストと手術後のフォローアップを行っています。

  

外来診療担当医表

脳神経内科 外来棟1階

 

 

スタッフ紹介

氏名 職名 卒業年
(大学院)
認定医等
森田 陽子 脳神経内科医長 昭55
(昭59)
日本神経学会専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
安富 大祐 内科医長
(神経内科)
平5
(平9)
日本神経学会専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本医師会認定産業医
安井 利夫 医員 平24

日本神経学会専門医

日本内科学会認定医

雪野 満 レジデント 平25

日本内科学会認定医 

仁木 啓史 レジデント 平28  
坂本 剛

非常勤医師

(外来診療)

平6

日本神経学会専門医

日本頭痛学会専門医

日本内科学会総合内科専門医

宮本 千佳子

非常勤医師

(脳波判読)

平6 精神保健指定医

 

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