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第16回平成20年3月21日(金) 一般来場者数93名

第16回 市民公開講座 講演概要

喫煙と呼吸器の病気

 

 喫煙と関連の深い呼吸器疾患である肺癌と慢性閉塞性肺疾患(COPD)についてお話します。

 肺に発生する上皮性の悪性腫瘍を肺癌といいます。日本人の死因の第1位を占める悪性腫瘍(平成18年:約33万人)のうち肺癌による死亡は約6万3千人(平成18年)であり、平成10年から連続で第1位となっています(男性 第1位、女性 第3位)。喫煙は肺癌の危険因子であり、喫煙者の肺癌発生相対危険度は4〜20倍です。また、受動喫煙(他人のタバコの煙を吸うこと)でも最大で2倍程度危険度が上がるとされています。喫煙開始年齢が早いほど、喫煙量が多いほど肺癌発生のリスクは高くなり、禁煙によりリスクは低下します。長期間続く、あるいは徐々に悪化する咳、痰(特に血痰)、息切れ、胸痛などは肺癌の症状である可能性があります。このような症状を自覚されたら、胸部レントゲンを受けることをお勧めします。肺癌が疑われた場合には、引き続いて胸部CT、気管支鏡といった検査を受ける必要があります。痰や気管支鏡で得られた検体の検査(細胞診、組織診)で肺癌の確定診断がついたら、全身の検査をおこない進行度(病期)を決定します。肺癌の8割を占める非小細胞癌の場合、早期であれば手術が根本的治療となりますが、最も早期の場合でも5年生存率(5年間存命である確率)は80%弱です。進行した肺癌には化学療法(抗癌剤治療)が用いられますが、病勢をコントロールできる確率は60−70%程度です。胸部レントゲンによる集団検診(場合によって痰の細胞診を併用)は欧米では死亡率の減少効果がないとされましたが、わが国では死亡の抑制効果があるとされています。定期的な検診をお勧めします。

 COPDは有毒な粒子やガスの吸入によって細い気管支や肺に炎症が起こる結果として肺機能が低下し、息切れが徐々に悪化していく病気です。COPDの90%以上が喫煙によるものです。わが国では40歳以上の8.5%がCOPDにかかっているといわれています。種々の治療薬がありますが、これらは息切れをとるためのものであり、決して壊れてしまった肺を元に戻すものではないことを覚えておいてください。肺機能の低下を遅らせる唯一の方法は禁煙です。慢性呼吸不全に陥ってしまった場合には在宅酸素療法に頼らざるを得なくなります。

 肺癌にしてもCOPDにしても喫煙されたすべての方がかかるわけではありませんが、現在の医学ではこれらの病気にかかる、かからないを正確に予測することは不可能です。したがって、喫煙しない、ということが最も確実かつ賢明な方法といえます。

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