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第27回 平成24年9月26日 →  一般来場者数109名

第27回 市民公開講座 講演概要

頭頸部癌 −藤井先生− もっと知ってほしい 頭頸部癌―治療の最前線―

 

 頭頸部がんは、脳を除いた頭部と頸部に発生します。喉頭癌、咽頭癌、舌癌などが含まれます。がんの中では6番目に多いがんで、全国で年間に約7500人の方が頭頸部がんで亡くなられます。年間の死亡率は悪性リンパ腫や白血病と同じ位で決してまれな癌ではありません。最も多いのは、舌がんを含んだ口腔がんです。そして喉頭がん、下咽頭がん、中咽頭がん、上顎がん、上咽頭がんが続きます。発症年齢は、50歳-60歳台が多くを占めますが上咽頭がんや中咽頭がんでは比較的若年者にも発生します。原因は、喫煙と飲酒が主なものですが、上咽頭がんのEBウイルス、中咽頭がんのヒト乳頭腫ウイルスが発がん因子として注目されています。早期がんで診断される場合は20-30%と少なく、多くは進行して診断されます。咽頭の異物感や食事の時にしみる感じなど初期の症状を見逃さないことが必要です。初期がんは手術や放射線療法のみで根治可能ですが、進行すると、放射線療法、化学療法、手術を組み合わせた集学的治療が行われます。頭頸部は発声、嚥下、咀嚼など生活にとって欠かせない機能が集まったところなので、それらの機能を温存した治療が工夫されています。進行がんの手術においては切除後の再建術によって舌や咽頭の機能が回復する手術手技が開発されています。放射線療法と化学療法も近年著しく進歩しました。進行がんに対して化学療法と放射線療法を組み合わせた治療を行うことによって、進行した喉頭がんでも60%-70%の方で喉頭を摘出せずに生存可能となっています。当院の耳鼻咽喉科では、日本臨床腫瘍グループ頭頸部部門の代表として全国の施設とともに進行がんの治療開発を行っています。特に、喉頭や咽頭を切除せずに温存する化学放射線療法の開発を積極的に行っています。頭頸部がんの治療成績は進行がんで5年生存率が50-70%と改善していますが再発転移する場合もあります。その場合の治療は非常に困難で従来の抗がん剤の効果は不十分でした。しかし近年では欧米で分子標的薬剤が導入されてわが国でも新しい臨床試験(治験)が行われており我々も積極的に参加しています。頭頸部がんは治療によって生活に重要な機能が損なわれることがあります。われわれは優れた治療効果とともに、患者様側からのフィードバックを元に生活の質(QOL)の確保も考えた集学的治療を目指しています。

 

                                   国立病院機構東京医療センター

                                         臨床研究センター

                                         聴覚平衡覚研究部

                                             藤井正人

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