HOME  >  病院をご利用の皆様へ  >  院内教室・講習会のご案内  >  市民公開講座  >  第25回 平成23年9月16日 → 一般来場者数140名

第25回 平成23年9月16日 → 一般来場者数140名

第25回 市民公開講座 講演概要

   肺癌   −加藤先生−  肺癌診療の進歩。

 

 平成23年9月16日に「肺癌になってしまったら-治療は進歩しました-」というテーマで市民公開講座を担当させていただきました。当日は150名近い参加者があり肺癌に対する関心の高さを知らされました。私は医師になって約30年ですが、前半の15年間の肺癌治療成績は惨憺たるものでしたが、後半の15年間における進歩は著しく、現在では毎年学会に参加してしっかり勉強しないと進歩に取り残されてしまう程です。科学技術の進歩が医療の質の向上に寄与することを実感できる時代に医師という職業につけたことを幸せに思っています。肺癌の診断ですがPET検査が開発され、当院でも実施できるようになり、苦痛なく高い精度で肺癌の進行度合いを診断することが可能となりました。肺癌の手術も進歩しました。肺を取り出すための数cmの傷と、カメラと特殊な手術器具を挿入する5mm程度の傷数個で標準的な手術である肺葉切除とリンパ節廓清ができるようになり、当院でも比較的早期の症例を選んで実施しています。化学療法(抗癌剤による治療)も進歩しました。癌を縮小する作用が強い抗癌剤が新しく開発されました。一般的に肺癌の化学療法は複数の薬剤を組み合わせますが、肺癌の種類や患者さんの状態により抗癌剤の組み合わせを変えることにより、安全で効果の高い治療が可能となりました。治療効果の向上を目的に化学療法に放射線療法を組み合わせた治療も行われるようになりました。抗癌剤による吐き気を予防する薬剤、治療により減った白血球を増やす薬剤も開発され、副作用で苦しむことなく化学療法を快適に受けることが可能となりました。さらに分子標的治療薬と呼ばれる新しい種類の薬剤が開発されました。特にEGFR−TKIと分類される薬剤(イレッサ、タルセバ)は1日1回自宅で内服するだけで高い効果が得られます。当初は実際に内服してもらい有効か無効かを判断していましたが、事前にEGFR-TKIが効くか否かを高い確率で診断できるEGFR遺伝子変異検査が開発されました。EGFR-TKIが効かない方が副作用に悩まされることが減りました。当院では呼吸器内科、呼吸器外科を専門とする医師が一つの診療単位として一緒になって智恵を出し合い、肺癌の診療を行っています。不幸にして肺癌になってしまっても有効な治療がありますので、安心してお掛かりください。

 

                                         副院長 加藤良一   

このページのTOPへ