独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 心血管・不整脈センター

心血管・不整脈センターの特色

冠動脈カテーテル検査・治療

心臓カテーテル検査

 カテーテルを用いて行う心臓の検査を心臓カテーテル検査と総称し、心臓の筋肉に血液を供給する血管(冠動脈)の状態を調べる冠動脈造影、心臓のポンプ機能の中心である左室の機能をみる左室造影、心臓から送り出される血液量や心臓内の圧を計測する右心カテーテル検査、不整脈の原因を調べる電気生理学的検査などがあります。冠動脈に狭窄や閉塞が疑われる狭心症や心筋梗塞の患者さんでは冠動脈造影と左室造影を通常行います。
 心臓カテーテル検査では局所麻酔して手首や大腿の付け根(鼠径部)から直径数ミリのカテーテルを心臓まで挿入します。冠動脈に造影剤を注入して冠動脈の写真を撮り、狭心症や心筋梗塞といった冠動脈疾患の確定診断を行うともに、PCIやバイパス術の適応といった治療方針の決定に不可欠の検査です。しかし危険性がゼロでない侵襲的検査であり、重篤な合併症(血管損傷や塞栓症など)が発生する確率は0.2~0.3%とされます。

経皮的冠動脈形成術(PCI)

 動脈硬化で冠動脈に狭窄が起こり、心臓の筋肉に酸素供給が不足する病気が狭心症で、供給が途絶えて心臓の筋肉が壊死してしまう病気が心筋梗塞です。PCIは冠動脈の狭窄・閉塞部位をカテーテルの先端に付いた風船で押し広げるなどして物理的に血流の改善を図る方法です。通常は風船はしぼませて体外に抜き、その部位にステントを留置することになります。

風船治療

風船治療 最も以前から行われている基本的治療法で、カテーテルの先端に付いた風船(バルーン)を膨らませて血管の狭窄部位を拡張する方法です。短所として治療直後に血管の急性閉塞を起こすことがあり、30%の例では数ヵ月後に再び血管が狭くなります(再狭窄)。

ステント植込

ステント植込 急性閉塞と再狭窄の予防のため開発されたのが金属でできた網状チューブのステントです。風船に装填して狭窄部位に運び、内側から血管壁に風船で押しつけるようにして拡げて血管内に留置します。ステント導入で再狭窄率は10~20%に減少し、手技直後の急性閉塞は激減しました。しかしステンレスなどの金属製のため、数日後にステント内に血栓ができて亜急性閉塞を起こすことがあり、その予防にアスピリンに加えてプラビックスという抗血小板剤の服用が最低約4週間は必要です。

薬剤溶出性ステント

 ステント植込で再狭窄は減少、さらなる再狭窄予防のためステント表面に薬剤を塗布した薬剤溶出性ステントが開発されました。再狭窄率は5%以下となりましたが、アスピリンとプラビックスの2剤の抗血小板薬を長期間(通常は1年以上)服用することが必要となります。

ローターブレーター

ローターブレーター ダイヤモンドの微小チップをコーティングしたラグビーボール状のバーと呼ばれるものを高速回転させ、動脈硬化部位に沈着した固いカルシウムを削りとる方法です。ローターブレーター施行後はさらに風船で拡げ、ステント植込みをするのが一般的です。

PCIの利点

 薬物治療では冠動脈の狭窄をなくすことは不可能ですがPCIでは可能であり、狭心症例では血液の通り道を広くするため血液供給が改善し、狭心症症状の改善が期待できます。急性心筋梗塞は発症2時間以内に20~30%が突然死する死亡率の高い疾患です。最善の治療法は冠動脈の閉塞部の血流を早期に再開させる再灌流療法であり、当院では救急車で搬送されて30分以内にPCIが開始され、60~90分以内にPCIで再灌流が得られています。

PCIの欠点

 風船治療では3ヵ月以内、ステント治療では6ヵ月以内、薬剤溶出性ステントでは約1年以内に再狭窄が出現することがあります。しかしその場合も多くはPCIで治療可能です。また薬剤溶出性ステントの使用で再狭窄は減少しましたが、細胞増殖を抑制する薬剤の使用という特性からステントが長期間血管内に露出した状態が続き、通常のステントでは 4週間で細胞がステントを覆いますが、薬剤溶出性ステントでは6ヵ月以上かかり、少なくとも1年間は2種類の抗血小板薬(血液をさらさらにする薬:アスピリンとプラビックス)を服用する必要があります。

PCIの安全性

 バイパス術と比較して肉体的負担は軽いですが、PCIでも1%前後の確率で緊急手術や死亡に至る重篤な合併症が発生するとされます。合併症を極力少なくすべく努力していますが、すでに病気を有する部位の治療を行うので残念ながら合併症ゼロにするのは一般に不可能です。起こりうる合併症に心筋梗塞、冠動脈が破れる冠動脈穿孔、造影剤による腎不全などがあります。

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